男性不妊の検査・治療
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男性側の不妊の原因を見つけるための検査や治療について
男性不妊の検査
[1]問診
子供のころから現在までにかかった病気や治療歴(手術の既往)をお聞かせいただくことは、今後の治療を進める上で、大変参考になります。
[2]精液検査
数日間の禁欲期間のあと検査します。
当院では採精室(2室)をご用意しておりますが、ご自宅でご用意いただき、持参していただいても結構です(採精容器はあらかじめお渡しいたします)。
精子の受精能力を検査することもおすすめします(アクロビーズテスト)。
[3]視・触診
最近、精索静脈瘤の方が増加しており、精子数、運動率などに異常が認められなくても、精子のDNA損傷、受精能力の低下も報告されており、早期の手術療法が望ましいとされています。
[4]内分泌検査
精巣を刺激する脳下垂体からのホルモンや、精巣から分泌されるホルモンなどを検査します。
[5]染色体検査
無精子症や高度の乏精子症の方については、染色体検査が必須です。
染色体数の異常(クラインフェルター症候群など)、転座(ロバートソン転座など)、モザイクなどの場合、ごく少数の精子が確保できれば顕微授精により受精、妊娠が可能となるが、出生児に同様の染色体数、構造異常が認められることがあることを十分ご了解いただくことが大切です。
非閉塞性無精子症でY染色体微小欠失(AZFa,AZFb)が認められる場合は、顕微鏡下精巣精子採取術を行っても精子回収は困難と判断されます。
[6]その他の検査
抗精子抗体、クラミジア、淋菌などの感染症、糖尿病などのメタボリックシンドロームも要注意です。
男性不妊の治療
男性不妊の治療は、次のように行います。
[1] カウンセリング
お一人で悩まないことです。
人間関係や仕事によるストレスなどの因子も複雑に絡み合っていると思いますが、経験豊かな男性不妊の専門医が、患者様とのコミュニケーションを通して、患者様の状態を十分把握した上で、今後の治療方針をアドバイスさせていただきます。
できるだけ自然に近い形で妊娠していただきたいということが基本的なコンセプトです。
[2] 薬による治療
- ホルモン異常による問題はクロミフェン、hMGあるいはhCGなどにより治療します。
- 原因不明の方にも、漢方薬、酵素製剤やビタミン剤が有効な場合があります。
- 逆行性射精の方も、薬物療法(アモキサピン)が有効な場合があります。
- クラミジアや淋菌などの感染症は十分な薬物治療が必要です。
- サプリメントとしてのL‐カルニチンは精子の運動性を高める働きと、メタボリックシンドロームの方の場合、ミトコンドリアでの脂肪代謝を活発化する作用があり、男性不妊症での効果が注目されています。
[3] 手術療法
精巣精子採取術
主に閉塞性無精子症の方に対しておこなわれますが、極度の乏精子症の方におこなうこともあります。
当院では、局所麻酔下に泌尿器科専門医がおこなっております。
時間的には0.5~2時間で終了し、採取できた精子は凍結保存されます。もちろん、手術終了後、帰宅できます。
顕微鏡下精巣精子採取術
非閉塞性無精子症の方におこなわれるますが、閉塞性の方でも、普通の精巣精子採取術で精子が採取できなかった場合は、再度、この方法で試みることもあります。 先にも述べましたが、大阪大学泌尿器科の不妊治療グループ(辻村 晃、現順天堂大学浦安病院泌尿器科教授)は、この方法を2000年からおこない、世界的な実績を持っております。
他院ですでに精巣精子採取術を受けられ、精子を採取できなかった方が、大阪大学で顕微鏡下精巣精子採取術により精子を採取することができた確率は45%です。
精路再建術
避妊手術としてパイプカットを受けられた方が、再度、お子様を希望された時、精管を顕微鏡下に吻合することも可能です。
しかし、このような方の場合、精子を作る機能(造精機能)が低下していることも多く、術後、精子が出現しても少ない可能性もありますので、フォローアップが大切です。
精索静脈瘤
精巣の周りの静脈が腫れる精索静脈瘤は成人男性の20%に、男性不妊の40%に認められるという報告もある疾患ですが、一般の精液検査で異常がなくても精子の受精能力が低下することがあります。
治療は外科的治療となり、顕微鏡下低位結紮術が主で、腹腔鏡下手術も行われます。
中等度以上の精索静脈瘤で手術が望ましいと判断される方は大阪大学、大阪警察病院、住友病院へご紹介いたします。
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