女性不妊の検査・治療

About Treatment

女性側の不妊の原因を見つけるための検査や治療について

「不育(妊娠しても流産や早産などにより生育しない状態)」についても早期から着目してきました。患者さまの状態によっては、不妊検査に加え、不育に関する検査もおすすめしています。


[1]血液検査

血液検査では大脳下垂体や卵巣のホルモン検査を含みますが、 血液検査結果と自分自身のおりものの状態、乳房や下腹部の緊張感などが一致するか、基礎体温もチェックし、データーと比較して体の感覚を実感することが大切です。

ホルモン検査

大脳下垂体から、卵巣機能の調整を司るホルモンとしてFSH(卵胞刺激ホルモン) LH(黄体化ホルモン)、PRL(プロラクチン)、甲状腺機能を調整するTSH(甲状腺刺激ホルモン)が分泌されます。卵子の成熟にともない、卵胞のサイズが増大すると、排卵を促す黄体ホルモン(LH)が分泌されます。

卵子の成熟に伴い、卵胞機能(卵巣内で卵子とその周囲の細胞が発育し形成している袋状の球体)のサイズが増大すると、卵子の成熟と排卵を促す黄体ホルモン(LH)が分泌されます。LHは尿に排泄され、自分で検査が可能ですので、排卵時期の推定に有用です。(いわゆる排卵チェッカーとして市販されています。)

卵巣からは、卵胞発育にともない卵胞ホルモン(エストロゲン)排卵後には黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌され、受精卵の着床と妊娠維持を助けます。

月経不順や無排卵などの原因となる多囊胞卵巣(PCO)と判断される方は、テストステロン(男性ホルモン)の検査も行います。
甲状腺ホルモンは、体全体のバランスを一定に維持し、妊娠、胎児発育、出産等に重要な役割を担います。

クラミジア抗体

おもに性行為で感染しますが、自覚症状がないことも多く、卵管や卵巣周囲の癒着の原因となり、卵子の質も低下します。

抗核抗体

抗サイログロブリン抗体などの自己抗体陽性の場合、流産、不育との関連も疑われます。
抗サイログロブリン抗体は甲状腺の自己抗体でTSH等のホルモン検査で異常がなくても、甲状腺機能に異常のある場合がありますので、抗核抗体陽性の場合と同様に、さらに詳しい検査が必要です。

抗ミューラー管ホルモン(AMH)

卵巣内の発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。
排卵予定の卵子が入っている前胞状卵胞数に比例した値となるので、発育予定の卵胞数という意味での卵巣の予備能力を示す指標となりますが、卵子の質を表現するものではありません。
年齢とともに低下しますが、個人差が大きく、AMHが低いからといって、妊娠出来ないということではありません。月経の周期にかかわらず、測定が可能です。
FSHが上昇してくる場合は、卵巣の機能がすでに低下してきていることを意味していますが、AMHが低下してくる場合は、今後卵巣機能の低下してくることが推測されますので、治療は早くのステップアップが望まれます。

抗精子抗体

身体の中で精子が卵子と受精するのを妨げる抗体:抗精子抗体ができてしまうことがあります。
女性だけでなく、男性自身も自分の精子に対して抗精子抗体を産生することがあり、自然妊娠は難しくなります。男女とも、3%程度の確率で陽性です。

フーナーテストで繰り返し運動精子が認められない場合は、検査する必要があります。

子宮内膜症のスクリーニング検査

CA125およびCA19-9もチェックします。

貧血、肝機能、高脂血症、糖尿病

健康なお母さんが、元気なお子様をご出産いただくために必要な検査です。

亜鉛、銅、ビタミンⅮ

亜鉛、銅:
亜鉛と銅は小腸から競合して吸収され、日本人の食事は銅の摂取量が多く亜鉛は少ない傾向があります。血中の亜鉛と銅のバランスは、銅が高いと着床障害、亜鉛が低い場合は妊娠率が低下するなどの影響が報告されています。

ビタミンⅮ:
ビタミンⅮはカルシウムの代謝に関係し、骨の形成に関係するビタミンです。その不足は体外受精の妊娠率の低下につながり、不育症においては反復着床不全、妊娠成立後は妊娠高血圧症候群、新生児の発育障害などのリスクが高くなると報告されています。
精液所見に関連しているとの報告もあり、男性も検査が望ましいと考えています。

B型、C型肝炎、梅毒などの感染症

風疹および麻疹抗体の検査もおすすめします。

超音波検査

卵巣の機能を検査する方法として、超音波検査は、卵胞(卵巣内で卵子とその周囲の細胞が発育し形成している袋状の球体)の大きさを簡単に計測することができ、その大きさと発育速度は卵巣機能を十分反映するので、 血液検査で異常がなければ、 卵巣機能の検査として、尿中LH値の測定と超音波検査が広く行われています。
超音波検査では、卵胞以外にも子宮内膜の発育も測定し、子宮の機能検査としてもなくてはならない検査法です。さらに子宮の大きさや形の異常の有無、卵巣腫瘍などの検索も行います。

骨密度測定

骨を形成しているカルシウムなどのミネラル量より骨密度を測定します。
出産後、母乳哺育されている方の骨粗鬆症、椎体骨骨折が報告されており、ビタミンⅮの測定とともに妊娠前、出産、授乳前に骨密度検査を行うことが大切です。

[2]子宮卵管造影検査

子宮頚管から子宮内腔へ造影剤を注入し、子宮の形や卵管の通過性、されに骨盤腔内の癒着の有無を調べるレントゲン検査です。
卵管が少し通りにくい場合には、検査で卵管の通過性が改善され、妊娠率の向上も期待できるので、検査と治療を兼ねることになります。
造影剤(ヨード剤)は水溶性(イソビスト)と油性(リビオドール)の薬剤ありますが、油性造影剤は、長ければ1年以上、骨盤腔に残存しますので、甲状腺機能に問題のある場合は、注意して検査する必要があります。当院では、水溶性造影剤のみを最小量で検査を行っております。

[3]フーナーテスト

排卵期には、子宮頚管粘液は増加し粘度は低下して、子宮内への精子の進入が容易と なるような仕組みとなっています。
精液所見が良くても、精子が子宮内へ到達出来なければ妊娠できないので、 フーナーテストが良好であることも重要です。
子宮頸管粘液の良い条件で検査し、結果が良くない場合は、数回検査を行い、やはり不良で有れば、 精液検査を行います。

精液検査に問題がなく、フーナーテストが不良の場合は、抗精子抗体の検査が必要です。
検査の結果により、子宮・卵巣・卵管等の器官に疾患が見つかり、それらの治療が必要と判断された場合には、本格的な治療に先立ち、疾患の治療を行います。


[1][2][3]の検査を踏まえ、以下の検査も必要な場合があります。

[4]

膣分泌物細菌培養検査

膣内にはラクトバチルス属(乳酸桿菌)という菌が豊富に存在し(常在菌)、雑菌の感染を防いでいますが、乳酸桿菌が減少すると雑菌が増殖し(細菌性膣症)、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎などの原因となり妊娠率は低下しますので、膣内の乳酸桿菌の割合や雑菌の増殖がないかを調べます。

子宮頸管クラミミジア抗原検査

子宮頸管に検査の時点で、クラミジアが感染しているかを調べる検査です。
子宮頸管炎が治りにくい場合は、淋菌検査も考慮します。

[5]子宮鏡検査

超音波検査や子宮卵管造影検査で子宮腔内に凹凸不整が認められたり、ポリープや子宮筋腫が疑われる場合は、子宮内を内視鏡(子宮鏡)で観察します。
外来で検査でき、麻酔も必要ありません。

[6]ERA. EMMA. ALICE

ERA

受精卵が子宮内膜に着床する時期は、受精後、おおむね120時間後、胚盤胞というに発育した段階で着床しますが、この時期は個人差があり、体外受精、顕微授精・胚移植で良好受精卵を複数回移植しても妊娠されない場合、子宮内膜の最適な着床時期を検査する方法です。
胚盤胞をERAで判定された時間に胚移植することにより、着床率は高くなります。

EMMA

子宮内の病原菌、常在菌を調べ、着床、妊娠に大切な乳酸菌の割合を調べます。
乳酸菌の割合が低い場合は、子宮内の乳酸菌を増やし、胚移植します。

ALICE

子宮内の慢性子宮内膜炎に関与していると思われる菌の有無と割合を調べます。
慢性子宮内膜炎と判断される場合は、抗生剤を服用後、胚移植します。

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