男性不妊の原因
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不妊に悩むカップルの2組に1組は男性側の因子です。
以前は、不妊症と聞くと女性にすべての原因があるように思われがちでした。しかし医学の発達により不妊の原因が明らかになってくると、実際には男性の原因が40%、女性の原因が50%、お二人ともの原因が10%程度だとわかってきました。
それにつれ、“男性不妊”という言葉も一般的に使われるようになり、それに対する診察や治療技術も著しく進歩しています。
当クリニックは、男性側の不妊治療にも力を入れています。安心してご相談ください。
男性不妊への取り組み
男性不妊の治療には専門医が対応します。
当クリニックでは、男性不妊の治療にも早い時期から着目し、男性不妊の専門家である泌尿器科医とも連携してまいりました。
平成9年に大阪大学泌尿器科の協力のもと、男性外来を開設いたしました。男性不妊が疑われる患者さまには、男性外来を受診していただき、基本的な検査・治療を受けていただくことで効果をあげています。
また、専門の医師がいることで、難治性の男性不妊にも、十分に対応できる態勢が整っています。例えば、無精子症(射出された精液の中に精子が全く無い状態)の患者さまに対しても、手術により精巣から直接精子を採ること(精巣内精子採取術)も可能となりました。
さまざまな技術で実績を上げています。
現在では、一個の精子さえあれば、卵子を正常に受精させることもできる顕微授精(卵細胞質内精子注入法)も確立されています。無精子症の方でも、精巣から直接精子を採取できれば、赤ちゃんを授かることが可能なのです。
また、精巣のごく一部でしか精子が造られないといった患者さまに対しても、顕微鏡を使い、精巣内の良い状態の部分を見極めて、そこから直接精子を採取する特別な方法(顕微鏡下精巣内精子採取術)を用いるなどの対応が可能です。
日本でいち早く男性不妊に着目し、治療に取り組んでおります。
これら精巣内精子を採取する手術を、当院はわが国では最も早く1994年10月から取り組んでおり、現在、辻村、高田、宮川、福原医師らの研究成果、学会報告は男性不妊の治療法を確立するうえで貴重な礎となりました。
精巣で精子が形成されていると判断される無精子症(閉塞性無精子症)の場合は、日帰り手術が可能な精巣内精子採取術(TESE)を当院で泌尿器科の生殖医療専門医が手術させていただきます。
精子が精巣のごく一部でしか形成されていないと推測される非閉塞性無精子症の場合は、確実に精子が採取できるよう顕微鏡下精巣精子採取術(MD-TESE)が望ましいので入院、手術が必要で、大阪大学、大阪警察病院、住友病院へご紹介させていただきます。
男性不妊の原因
男性不妊の原因には、精子を作る機能の問題、精子が通る通路の問題、性行為あるいは射精の問題、その他の問題の大きく4種類の原因があります。
01精子を作る機能の問題
- 原因不明:はじめから不明というのは残念ですが、原因不明が最も多いのです。
- ホルモンの異常:脳下垂体から精巣を刺激する機能(ホルモン)の異常。
- 先天的な異常によるもの:染色体異常(クラインフェルター症候群など)、停留精巣など。
- 感染症:流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)によるものが多い。
- 精索静脈瘤によるものもある。
02精子が通る通路の問題(閉塞性無精子症)
先天性の精管欠損、小児期のヘルニア手術、逆行性射精、精路の炎症あるいは避妊手術としてのパイプカットによるものもあります。
03性行為あるいは射精の問題
ED(勃起障害)や逆行性射精など。
04その他
免疫性不妊(抗精子抗体)など。
精子を作る機能の問題では、WHO基準に基づいて、精液所見(精子数、運動率、奇形率、白血球数あるいは運動能力)により、次のように分類されます。
①乏精子症
②無精子症
無精子症:無精子症の原因としては、閉塞性無精子症ではなく、原因不明の非閉塞性無精子症(精子が通る通路には異常がない)がもっとも多い。
当院は無精子症のカップルに対する治療を1994年7月に開始いたしました。
現在では、顕微鏡下精巣精子採取術で最高の技術を有する大阪大学泌尿器科と連携し、非閉塞性無精子症の方の治療に積極的に取り組んでおります。
資料でお示しするように、積極的な治療は妊娠率の向上につながります。
③精子無力症
④奇形精子症
⑤膿精液症
参考:資料1 正常精液所見(WHO・ラボマニュアル6版2021)
精液量 | 1.4ml以上 |
---|---|
精子濃度 | 1600万/ml以上 |
総精子数 | 3900万以上 |
前進運動率 | 30%以上 |
運動率 | 42%以上 |
正常形態率 | 4%以上 |
白血球数 | 100万/ml未満 |
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